
卒業生インタビュー
「選手のパフォーマンスを最大限に」トレーナーのやりがいや魅力とは【先生×在校生 対談企画vol.1】
「スポーツトレーナーという仕事のやりがいはなんだろう?」これからトレーナーになりたいと夢を抱く人が、共通して浮かぶ疑問だろう。
現在、日本健康医療専門学校(以下、ニッケン)で先生を務める野田 菜摘さんは、東京ガス野球部の専属トレーナーとして活躍されており、ニッケンの卒業生でもある。そして、柔道整復学科3年生の小泉 聖人さんは、現在スポーツトレーナーになるべく国家試験に向けて勉強中。高校ラグビーのインターン経験をもつ。
お二人がトレーナーという仕事を通じて目指しているのは、「選手のパフォーマンスを最大限に引き上げる」こと。
現場をよく知る先生と、夢に向かって勉強中の在校生に、スポーツトレーナーのやりがいや魅力について伺った。これまでの経験をふまえ、学校生活や初めての現場でのこと、トレーナーを続ける上で大切にしていることや、将来の展望まで、お二人が考える“スポーツトレーナーとは”に迫る。
「野球部」という共通点をもつお二人の経歴
―― まず、お二人のプロフィールを教えてください。
野田:高校と大学時代、野球部のマネージャーをしていました。大学卒業後、就職活動もしましたが、トレーナーになる夢があったので、鍼灸の国家資格を目指しながらスポーツトレーナーの勉強もできるニッケンへ入学しました。
現在は、主に東京ガスの野球部で専属トレーナーをしており、週1回ニッケンで講師をしています。以前に勤めていたダイハツ陸上部でもスポットで帯同したり、大学や治療院で患者さんに治療したり、いろいろとやっています。
小泉:高校3年間野球部に所属していました。その頃から専門学校に入ってトレーナーを目指したいと思い、ニッケンの柔道整復学科に入りました。2年生の時に1年間、高校ラグビー部のインターンをしたのですが、ラグビー全国大会の常連校である花園高校で帯同した経験もあります。
先生・生徒それぞれの学校生活について
―― 先生は、学校では主にどんなことを教えていますか?
野田:学校では運動学の補佐を週1回しています。テーピングやストレッチなど実技を伝えることが多いです。今はフリーランスという形でやらせていただいています。
―― スポーツトレーナーは、フリーランスの方が多いのですか?
野田:私はいろいろなところと直接契約をして、フリーランスで活動していますが、治療院に就職したり、派遣会社を通して働いたりする方もいらっしゃいますよ。
―― 教え方で工夫している点はありますか?
野田:社会に出ても、自分の意見を伝えられるような大人になってほしいので、授業でも生徒が自分の考えた言葉で質問や発言ができるような環境作りや、話し方を心がけています。
小泉:僕も、分からないことがあったら先生に聞くようにはしていますね。
―― 小泉さんは、学校ではどのようなことを学んでいますか? 好きな授業や、楽しいこと、大変なことがあれば教えてください。
小泉:骨折や脱臼など、ケガについて勉強しています。好きな授業は、解剖学や生理学ですね。毎日顔を合わせるので、友達との時間はとても楽しいです。
去年、毎週日曜日にインターンへ行っていたのですが、スポーツトレーナー養成コースと学科の勉強もあり、その両立が大変でした。今は、アルバイトをしながら勉強を頑張っています!
「ケガなくプレーできている」それがトレーナーの役目
―― これまでの経験やインターンでの経験をふまえて、トレーナーの魅力ややりがいを教えてください。
野田:今までは選手に「ありがとう」と言われるのがやりがいでしたが、それが変わりました。今は、選手がケガなく楽しそうにプレーして、スムーズに毎日を過ごせることにやりがいを感じます。「今日全然痛くない。調子いいです」と言われると、貢献できているなと思いますね。小泉さんは、ラグビーのインターンの時はどうでしたか?
小泉:僕も高校3年間野球をやっていたので、分かるのですが、スポーツは「勝つ」ことが重要です。ですから、帯同で選手のサポートをして試合に勝てた時、やりがいを感じます。チーム一丸という感じで、楽しいですね。
―― チームに対して、トレーナーの人数はどれくらいですか?
小泉:ラグビーのインターンの時は、プロのトレーナー1人と、僕を含め学生のインターン2人でした。選手は60人位いる時もありましたね。
野田:東京ガスでは、コンディショニングトレーナーとメディカルトレーナーの2人在籍しています。私はメディカルトレーナーとして携わっていますが、2人いるのは珍しいかもしれませんね。
―― 勉強していくうち、インターンを経験するうちに、トレーナーへの理想像は変わりましたか?
小泉:以前はケガをした選手に対して、その復帰を助けたいと思っていました。もちろん、試合前のテーピングなどサポートすることはあるのですが、ケガの場面でないと、自分は何もやっていないのではないか、貢献できていないのではと思っていました。
でも、ドームアスリートハウスという施設での帯同経験をしているうちに、トレーニングで選手をレベルアップさせたいと思うようになり、ケガの予防や競技のパフォーマンス向上のサポートができる「ストレングスコーチ」を目指したいなと気持ちが変わったのです。選手にとっても、もちろんケガをしない方が良いことなので。もっとチームに貢献したいと考えた時、トレーニングを教える方が自分は好きだな、向いているなと思います。
野田:前職のダイハツ女子陸上部では、大きいケガはあまりなく全員のコンディショニング調整がメインでした。今の野球部では、前職に比べるとケガの場面が多くて、ボールが当たって脱臼した選手の対応や、救急車の搬送対応もありました。
しかし、大きなケガがなく、ケガ人が出ないことが選手にとっても自分にとっても良いことなので。「この時期、離脱者が0人でみんなプレーができている」=「私の仕事が貢献できている」と感じます。
あと、マッサージや鍼も大切ですが、それだけではパフォーマンスが上がらないので、運動療法も選手に伝えて、パフォーマンスを上げてもらっています。「これができたら次!」とどんどん目標を作って、自分のパフォーマンスも上げています。
―― 凄いですね。目標を立てるのって大事ですよね。そんな野田先生に小泉さんからお聞きしたいことはありますか?
小泉:現在、学校でも勉強しているけれど、それだけでは足りないと思っています。もっと勉強してから現場に出た方がいいのか、知識が浅くても現場経験を積んだ方がいいのか、野田先生の考えを教えてください。
野田:私は入社して半年もしないうちに「現場に行け」と言われました。その時は、事前にテキストを見返したり、授業のことを思い出したりして、対応していました。今は、講師として授業でまた振り返りができて為になっていますね。
社会に出て感じたことは、学校のトレーナー養成コースで勉強していたら、現場に出ても結構動けるなということ。あとは、現場では何が起こるか分からないので、頭を回転させる力も大事ですね。
ちなみに、入社後1年くらいまで帯同する日は、おなかが痛かったです(笑)
小泉:そうなんですね。参考になります! 僕も、インターンの時、初めは緊張しながらテーピングを行っていました。何人も対応していくうちに、いろんなテープを実践してみて、こういうテープも使えるのだなという発見があったりして。
選手の希望に合わせてテープを選ぶのは難しいですが、だんだんコツも掴めてきて、自信がもてるようになりました! 初めはこのケガの場合はこのテープ、という固定観念があったのですが、それも変わりましたね。
「トレーナーになっても常に勉強しています」
小泉:東京ガスの選手と接する時、どんなことを心がけていますか?
野田:今は男性の選手が多いので、その人のテンションに合わせるようにしています。ふざけている時は一緒にふざけたり、悩みを相談されたら親身に聞いたり。男性チームの中に女性が一人なので、いろいろと悩みを打ち明けられることが多いです。
前職のダイハツ女子陸上部の時は、女性の選手相手だったので、男性と女性でこんなに違うのかと勉強になりました。同性だからこそ分かること、異性同士だからこそおもしろい発見があるなど、いろいろな体験をするのがベストかなと思いますね。
小泉:ありがとうございます! 参考になります。ちなみに、トレーナーになられてからは、どれくらい勉強していますか?
野田:常に勉強しています。新しいテキストを買ったり、いろいろな勉強会に行ったり。試してみようと思ったことを、大事な試合前でなければ試してもいいと思うので、どんどん実践しています。
有名選手やチームの実習に参加できる機会も! ニッケンの魅力
―― 日本健康医療専門学校はどのようなところが魅力だと思いますか。
小泉:ニッケンがすごいなと思うところは、自分が花園高校でインターンをした時に、グランドに立って帯同に参加できたことです。普通はグランドに入れるのはプロのトレーナーだけで、学生がグランドに立つことは珍しいです。でも、僕はグランドに立ってトレーナー業務ができた。学生でこんなことが経験できるのは、ニッケンくらいな気がします。
野田:確かに。女子サッカーのベンチに入った子もいますよね。
小泉:社会人ラグビー部での実習で、有名選手と写真を撮っている子もいました。
野田:私も在学中に、レスリングのオリンピック選手が横にいた経験がありますね。ニッケンは、IPU・環太平洋大学とグループ校なので、実績あるチームでの経験や有名な選手に会えるといった点は魅力かもしれません!
―― 先生と生徒の距離が近いって本当ですか? 先生と生徒はどんなお話をするのですか。
小泉:先生と生徒の距離は近いと思います。学科の先生とは、プライベートな話もしますよ。
野田:私も学生の頃は、よく先生とお話をしていました。先生と生徒の距離が近いので、最初はすごく驚きました! 当時の担任の先生が、初めて受けもつクラスだったらしく、ものすごい全力投球という感じで。今も現役で働かれているのですが、とても親身になってくれました。
今は聞かれる立場ですが、「こういう時はどうしたらいいんですか?」という実践的な質問が多いですね。私の授業は実技が主なので、「こうやってテープを巻いたんですけど、合っていますか?」みたいな。社会に対応する言葉や行動力を身につけてほしいというのが、スポーツトレーナー養成コースの考えなので、私もそれに沿って生徒に答えます。
小泉:僕も、スポーツトレーナー養成コースの先生には、実践的な質問をしますね。逆に、学科の先生は、日常生活やプライベートな話をするかな。いろいろな先生と話しますが、ニッケンの先生はみんなフレンドリーです。
―― 他には、どんなところが魅力だと思いますか。
野田:資料が豊富なところですね。テキスト以外に、先生がオリジナルで作ってくれているプリント資料があります。
小泉:テキストでは理解するのが難しい内容でも、プリントだとかみ砕いて説明してくれていますよね。
野田:そうそう。とても分かりやすくて勉強しやすいです。
あとは、「αゼミ」などの特別授業があって、外部の方が学校に来て、鍼灸の◯◯式のお話や美容鍼、各先生の手技についてなど、授業以外のことや卒業後も使える知識を聞けて、すごく為になりました。
公立校のレベルを上げて甲子園へいく夢
―― 将来の夢や展望があれば教えてください。
野田:実はずっと夢があって、それがこの前叶ったのです!
「東京オリンピックの野球の試合を、帯同しているチームと一緒に観戦する」という夢で、今回無観客だったのでテレビ越しではありましたが、現在専属の野球部の選手と一緒に観戦できました。
以前は、「野球部のトレーナーになる」という夢でした。女性が野球部のトレーナーになるのは稀で難しいと言われていましたが、それも叶ったので。今は新しい夢を探しているところです。
小泉:僕は、トレーニングで選手のパフォーマンスを最大限に上げられる、スポーツトレーナーになりたいです。動作の指導はまだできないですが、その土台作りができたらなと思います。
夢は、「高校野球のトレーナーとして甲子園に行く」こと。高校の中でも、公立高校で行きたいです。現状、私立と公立だと体つきも違うので、設備が整っている私立ではなく、公立校のレベルを上げたいです!
きちんと知識をもった人が、選手のパフォーマンスを上げることで、私立に立ち向かえる公立にしたいと願っています。
―― 最後に、これからスポーツトレーナーを目指す高校生に向けて、メッセージをお願いします。
野田:スポーツをやっている選手が、ケガなく楽しくプレーしているのが私のやりがいです。勝つことも負けることも経験して、自分の目標をもってスポーツをしてもらいたいので、そのサポートをできるのが本望です。
野球のトレーナーを女性がやるのは無理だと言われていましたが、「やりたい」とずっと言葉にして、ずっと目標に向かって動いていたら、お話が来ました。やりたいことは口に出して努力することで、チャンスを掴むことができる。無理だなと思ってもやり続けることが大事です。皆さんも夢と目標に向かって、頑張ってください!
小泉:大事なのは、「これをやってみるか?」と言われた時に、自信がないから断るのではなく、とりあえずやってみること。勇気を出して引き受けてから、それに向けて練習なり、準備なりすればいいと思います。
僕もインターンをする時、テーピングをするのに不安があったけど、とりあえず志願して、その後でめちゃくちゃテーピングの練習をしました。結果、テーピングのコツも掴めたし、それが自信につながりました。「今のうちは断らない!」チャンスがあったら掴む気持ちで挑んでください!
▼日本健康医療専門学校(ニッケン)の詳細はこちらから
<プロフィール>
先生:野田 菜摘さん
現在、東京ガス野球部専属トレーナーに従事。元ダイハツ女子陸上部トレーナー。スポーツトレーナー養成コース2016年卒業、鍼灸学科2017年卒業。
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在校生:小泉 聖人さん
現在、柔道整復学科に在籍中。スポーツトレーナー養成コース2021年卒業。高校ラグビーなどのインターン経験あり。
