柔道整復師として独立開業するには?開業の流れや手続き、成功のポイントを解説

柔道整復師として独立開業するには?開業の流れや手続き、成功のポイントを解説

国家資格である柔道整復師は、接骨院や整骨院、病院での勤務のほか、スポーツトレーナーとしてプロスポーツチームに随行したり、介護福祉施設で機能訓練指導士として働いたりするなど、さまざまな活躍の場があります。加えて、将来的には独立開業も可能です。
柔道整復師には開業権があり、自身が院長となって治療院を開院できます。今回は、柔道整復師として将来独立を目指す人のために、接骨院や整骨院を開業するまでの流れや、必要な手続き、費用相場、成功のポイントをお伝えします。

柔道整復師として独立開業するまでの流れ

柔道整復師として独立開業するには、まず柔道整復師の国家資格を取得しなければなりません。一般的には大学や短期大学、または専門学校で学習した後に、国家試験を受験して資格を得ます。

国家試験に合格すれば、すぐに開業できるというわけではありません。まずは準備が必要です。独立開業までの流れを詳しく見てみましょう。

柔道整復師になる方法を知りたい場合には、「柔道整復師になるには?柔道整復師の仕事内容と年収、就職先などを紹介します。」を、柔道整復師に必要な資格について詳しくは、「「柔道整復師」とはどんな国家資格?取得するメリットや学校選びのポイントは?」をご覧ください。

 

独立開業までの流れ

独立開業といっても、その方法はさまざまです。「何もないところから新規開業する」、「すでにある治療院を引き継ぐかたちで開業する」「現在は閉院している治療院の設備や内装を利用して開業する(居抜き利用)」などがあります。

ここでは、新規開業することを前提に、主な手続きの流れを見てみましょう。

  • 施術管理者の登録申請
    柔道整復師の国家資格を取得すれば、だれでもすぐに独立開業できるかといえば、そうではありません。独立開業には、「施術管理者」の届出をする必要があります。これは、柔道整復施術療養費の受領委任取扱いの管理を目的として定められました。
    以前は、柔道整復師の資格があれば「施術管理者」の届出ができましたが、2018年4月より、柔道整復師の資格に加えて、1年間の実務経験と、柔道整復研修試験財団をはじめとした登録研修機関が行う研修(16時間以上、2日間程度の講義)を受講することが要件となりました。なお、2022年4月から2024年3月までの間に施術管理者の届出をする場合は2年間、2024年4月以降は3年の実務経験が必要です。
  • 開業予定地の決定
    施術管理者の届出を行ったら、開業する場所を決定します。場所だけでなく、施術が可能な物件を探すことも大切です。長期的に経営が続けられるよう、将来を見越した場所選びを行いましょう。複数の候補地を検討し、その地域に住む人の平均的な年齢層やニーズを把握します。そのほか、ライバルの少ない立地であること、施術できる広さがあること、開業費の予算に見合っていることなどを総合的に考えたうえで、最終候補地を決定します。
  • 設備の選定、レイアウト設計
    院内で使用する予定の医療機器を選ぶと同時に、待合室や施術室などのレイアウト設計を行います。設備の選択では予算を考慮することも大切ですが、その大きさや納期についても十分検討したうえで決める必要があります。納期が長い機器は早めに注文しましょう。また、工事完了後になって、大きすぎる設備が入り口や窓から搬入できないといった不備が起きないよう、サイズ確認などの事前調査が必要です。なお、接骨院や整骨院を開業する際のレイアウトは、厚生労働省令の定める構造設備基準を満たしていなければなりません。基準は自治体や、保健所によって異なるため、必ず事前に確認しましょう。
  • 開業申請手続きを行う
    開業時には、税務署への開業届のほか、労災保険指定医療機関として承認を受けるなど、複数の機関や役所に申請手続きを行う必要があります。提出する書類の数が多いため、少しでも早く準備を進めておくとよいでしょう。申請手続きに関する詳しい内容は後述します。
  • スタッフ採用・教育
    1人だけで開業する場合は必要ありませんが、受付や施術担当者を雇用する場合は、開業準備を進めながら同時に採用活動を行います。採用した人材には、自身が設定した経営方針や治療方針を伝え、必要に応じて研修を行いましょう。
  • 開業
    すべての手続きを終えたら、いよいよ開業です。開業前にはしっかり広告宣伝を行い、周辺地域に開業したことをアピールしましょう。フリーペーパーに広告を載せたり、チラシを配布したりするなど工夫が必要です。ホームページやチラシを制作する際には、柔道整復師法に定められた、広告に関する規制を理解したうえで準備しなければいけません。また、広告宣伝にも費用がかかるため、開業費用の予算に含めておきましょう。

開業に必要な手続きや費用相場

先にもお伝えしたように、開業申請にはさまざまな手続きが必要です。具体的な手続き内容をまとめ、整骨院や接骨院を開業する際にかかる費用相場についてお伝えします。

開業に必要な手続き

  • 開設届
    治療院を開業する地域を管轄する保健所に、開設届を提出します。必要な書類は、「施術所開設届」「施術所の平面図」「施術所の周辺図(賃貸の場合は店舗賃貸契約書が必要な場合もあり)」「柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などの免許証(原本)と写し」「運転免許証やパスポートなど本人確認が行える書類」です。
    なお、株式会社や合資会社のような法人として開業する場合には、登記簿謄本の写しも必要になります。開設届は、治療院開設後10日以内に提出しなければなりません。施術所の平面図で構造設備基準が満たされていない場合は開設が認められないため、必ず事前(着工前)に保健所に確認しましょう。
  • 受領委任取扱い契約の申請
    健康保険を適用できる治療院を開設する場合、開設届を提出した後に、受領委任を取り扱う保険者の申請を行うために、次の書類を用意して管轄の地方厚生局へ届出を行います。

     ・確約書(様式第1号)
     ・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱に係る届け出(様式第2号)
     ・実務経験期間証明書の写し
     ・施術管理者研修修了証の写し
     ・保健所開設届の写し(保健所の受理印のあるもの)
     ・施術所平面図
     ・施術所周辺図
     ・施術管理者の柔道整復師免許証の写し

    上記の書類がすべて受理されれば、その日から保険の取り扱いが可能になります。本人以外に柔道整復師を雇用している、もしくは施術管理者が開設する本人と異なる場合は、提出する書類が異なる場合があります。どの書類が必要なのか、事前に地方厚生局へ確認しておきましょう。
  • 共済組合・防衛省などへの届け出
    患者が国家公務員・地方公務員・防衛省関係の場合、一般とは保険の種類が異なります。そのため、それぞれの管轄機関に申請を行い、保険の取り扱いができるようにしなくてはなりません。国家公務員関係は「共済組合連盟」、地方公務員関係は「地方公務員共済組合協議会」、防衛省関係は「防衛省」に書類を提出します。
    共済組合、防衛省に提出する書類は、「柔道整復師免許証の写し」「申請書(様式第1号)」「確約書(様式第2号)」です。
  • 労災保険指定医療機関の申請
    仕事中のケガや事故による症状に対応するために、治療費を雇用元が支払う労災保険があります。労災保険を取り扱うためには、管轄する都道府県労働局に以下の書類を提出します。

     ・申請書(様式第1号)
     ・確約書
     ・指定・指名機関登録(変更)報告書
     ・保健所開設届(施術所の確認ができるもの)の写し
     ・施術所の平面図
     ・施術所の周辺図
     ・柔道整復師免許書の写し

    柔道整復師が複数人いる場合や法人化した場合、さらに以下の書類も提出します。
     ・開設者以外の柔道整復師が担当した施術に係る受任者払の指名施術所申請書(様式第1号)
     ・柔道整復施術費用の受任者払に係る同意書(様式第1号-2)
     ・受任者選任届(様式第1号-3)(法人の場合及び開設者と受任者が異なる場合)

    提出後、都道府県労働局長による指定を受けると対応できるようになります。
  • 生活保護法等指定施術機関の申請
    生活保護法の指定を受け、生活保護を取り扱うためには、次の書類を管轄の福祉事務所に提出します。
    「申請書」「誓約書」「柔道整復師免許書の写し(該当する柔道整復師のもの)」「契約書2通(協定を締結している団体に所属していない場合)」
  • 税務署への届け出
    法人ではなく個人事業主として医院を開設する場合、納税地を所轄する税務署に対し、「個人事業の開業・廃業届出書」を提出します。提出は事業を開始した事実があった日から1ヵ月以内です。

上記の手続きに関する詳細は変更となる可能性もありますので、事前に各サイトで必ず確認するようにしましょう。また、細かい手続きが多いため、開業時の負担を少なくしたい場合には、専門家に相談するのもおすすめです。手続きに不安な点があれば、行政書士や社会保険労務士、税理士などに相談してみましょう。

整骨院・接骨院を開業する際にかかる費用相場

整骨院、接骨院の開業費として、一般的には1,000万円前後がかかるといわれています。事前にしっかり準備をするのであれば、1,000万円程度の予算を考えておくとよいでしょう。ただし、立地や規模、内装工事の程度、設備などによってかかる費用は異なります。

開業にかかる主な費用の内訳は、「物件(賃貸契約費など)」「医療機器・設備費」「内装工事費」「広告宣伝費」「開業後の運営費」です。特に費用がかさみやすいのが物件かもしれません。新規に物件を借りる場合と、すでにある治療院を引き継ぐ場合、居抜き物件(以前に治療院として使用されており、その内装やレイアウトが残ったままの物件)を使う場合では費用が変わります。

また、首都圏で開業するのか、地方都市で開業するかによっても違うため、しっかり調査する必要があるでしょう。開業費用を抑えられれば、その分、広告宣伝や運営費に余裕ができます。いずれにしても開業費は少し多めに用意しておいたほうがよいでしょう。

資金面で不安がある場合には、国庫から融資を受けたり、地方自治体の助成金を利用したりする方法もあります。開業初期の費用負担を軽減させるための情報もしっかりチェックしておきましょう。

独立開業で成功するためのポイント

独立開業を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。なかでも特に重要なポイントを紹介します。

  • 開業後の運営費に余裕を持たせておく
    健康保険を利用できる整骨院や接骨院は、施術を行っても療養費が実際に支払われるのは、3ヵ月後です。開業してから3ヵ月はほぼ収入がない状態になるため、人件費、水道光熱費、家賃などは最低でも3ヵ月分は余裕を持たせておく必要があるでしょう。
  • 患者に喜ばれる工夫が必要
    施術の技術さえあれば患者は自然と増えるはずと考える人も多いかもしれません。確かに技術は成功するための重要な要素のひとつです。しかし、多くのライバルがいるなかで選ばれ続けるには、技術以外の工夫が必要です。まず、しっかり相手と向き合い、コミュニケーションをとりながら、適切な施術を行うこと。来院した人に、家族や知り合いにも勧めたいと思ってもらえるには、常に何をすべきかを考えながら、喜ばれるアイデアを取り入れる必要があるでしょう。
  • 広告宣伝を怠らない
    患者のクチコミも重要ですが、自らが行う広告宣伝で認知を拡大させるのも成功のポイントです。ただし、柔道整復師法の条項には「広告の制限」があるため、むやみな広告宣伝を行えません。フェイスブックやインスタグラムといったSNSを上手に活用し、時間をかけて自院のアピールを行いましょう。柔道整復師法以外にも、医師法(医行為を連想させる広告はNG)や景品表示法(誇大広告や優良誤認にあたる内容はNG)など、広告にかかわる法律がたくさんあります。正しい広告発信ができるよう、事前に情報収集しておきましょう。
  • 経営者視点を持つ
    技術があり、患者に選ばれる治療院になっても、経営者としての手腕がなければ長続きしない場合があります。たくさんの患者を治療すれば利益が増えるかもしれませんが、広告宣伝費をかけすぎたり、無理な働き方を続けたりしていれば、経営に無理が出てしまうでしょう。

一時的な事業で終わってしまわないように、会計管理のスキルを身につけ、健全な経営を目指して働く環境を整えるといった、経営者視点を持って取り組む必要があります。長期的な視野で事業を継続できるよう、経営についても学んでおきましょう。

開業資金を準備して独立開業を目指そう

これから柔道整復師を目指す場合、開業までには資格取得までにかかる期間に加えて、その後3年間の実務経験を得る時間が必要です。将来の目標が独立開業と決まっているのであれば、現場で働きながら少しでも多くの開業資金を用意できるよう準備しましょう。勤務先での実務経験期間は、経営者視点を持ち、どうすれば長く経営を続けられるのかを考える良い機会になります。将来の自分をイメージしながら、夢に向かって行動しましょう。

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